はじめに


 航空界の現状は、皆様がアメリカで、プロパイロットのライセンスを大変な苦労の末取得されても、なかなか就職先が見つからないのが現状です。というのは、主に2つの理由からです。

  1つは、アメリカで取得されたライセンスでは、日本の空では生かされないからです。日本で航空に従事するためには、日本の事業用、計器証明、教育証明が必要とされます。アメリカのライセンスから日本のライセンスへ書き換えてもらえるのは、自家用ライセンス、多発のレイティングなどで、事業用ライセンスや計器飛行のレイティング、教育証明などのライセンスについては、書き換えが出来ない仕組みとなっております。これは、逆も同じで、日本の事業用ライセンスからアメリカの事業用ライセンスへも同様に書き換えることは出来ません。

それでは日本の事業用操縦士のライセンス、日本の計器飛行証明、そして日本の教育証明を最初から取得すればいいではないかとなりますが、これが実は、大変な努力と費用が必要となります。これが最初の課題となります。

 2つ目は、それならアメリカ(FAA)で取得したライセンスだから、アメリカで仕事を探せばいいではないかと言うことになります。その通りなのですが、実はこれがそう簡単ではないのです。アメリカで仕事をする為には、アメリカの労働ビザを取得することが必要になります。これさえ取れればチャンスは来たも同然です。しかしこれについては、日本の事業用のライセンスを取るのと同じ位に、難しい問題なのです。そう簡単には労働ビザの取得をする事は出来ないのです。

 これらの困難な課題に対し、それではどうすればいいのかと言った場合に、当社が募集する特別訓練生のシステムがそれに対する一つの解決方法として有効ではないかと思われます。これはどのようなものかと言いますと、航空会社で訓練をし、プロライセンスの取得を完了した後、その訓練をした会社にて採用してもらい、労働ビザを取って戴き、パイロットとして働く事が出来る、というシステムです。これですと訓練中から将来の目標が設定されていますので、とりあえずは安心して訓練に励むことが出来ますし、もし取得の間までにもっと素晴らしい所が見つかれば(まずそう簡単に見つからないとは存じますが)、そちらへ進むことも可能となります。

 最近では当社に似て、ライセンス取得後はその会社にて働けるという会社も増えて参りました。皆様にとってはチャンスが増えてきて、いい方向ではないかと存じます。只一つだけ、皆様に十分御注意戴きたいのは、その会社が本当に最後まできちんと責任を取ってくれる会社かどうかということです。

 つい最近も、あるお客様が当社を訪れ、お話を伺っていたところ、まさにこの様なケースを体験されておられました。訓練をする予定だった会社に就職の保証の事などを繰り返し、詳しく伺っていく内に、だんだん連絡が途絶え、最後は厳しい口調になってきて怒り始めたと言っておられました。それが意味するところはどういう事かと申しますと、実は皆様のように、プロパイロットを目指しておられる方々に対して、働く事が出来ます、或いは就職出来ますと言うと希望者も多く、営業上非常に効果的なのですが、しかしながら一方、外国の労働ビザを皆様に提供すると言う事は、容易ではないと言う事に尽きると思います。

 またこの航空業界は、見た目は非常に華やかではありますが、内実はとても厳しい業界で御座います。それ故に多くの方々にそれらのチャンスを十分に与えられないのが現状で、残念ではありますがこれが事実であり、現実なのです。

  しかし最近お会いした何名かの航空業界で活躍されているベテランの方々からは、アメリカでは現在多くのパイロットが募集され、今後更に必要になると聞いております。叉日本の航空界に於いても近い内に、だいぶ沢山のパイロットが必要とされる様になると伺っております(これらの話は全てラインパイロットの話ですが、通常、エアラインで多くのパイロットが必要になると、一般の使用事業やコミューター、つまり小型機の業界の中からベテランを採用することになる為、それらの会社からパイロットのポストが空いてきて、皆様に使用事業、或いはコミューターに採用されるチャンスが巡ってくるという事です)。

 ぜひそれらのチャンスを確実に捉えるためにも、皆様のたゆまない飛行の実績づくりが必要ではないかと存じます。当社の様な形態であれ何であれ、ぜひ積極的に挑戦をして戴きたいと思います。

 尚、最後に当社の特別訓練生(当社の特別訓練生の場合、全員に計器飛行教官、通称CFIIを取得させております)に対してでもそうですが、もし皆様が今後プロパイロットとして、この航空業界でやっていこうというお考えでしたら、当社の私見では御座いますが、ぜひインストラクターライセンスを取得される事をお勧め致します(あくまで使用事業の小型機からの実績づくりを進める方々の場合ですが)。というのは、インストラクターライセンスを取得する為の費用は、コマーシャルライセンスを取得する費用と比べて、さほど料金の差に大きな違いは御座いません(これはあくまでアメリカの場合です)。

 一方、我々の様な小型機の業界で、コマーシャルライセンスが必要とされるものは、おそらく仕事全体の20%位の量ではないかと思われます。たとえインストラクターライセンスを取得したとしても依然、就職が厳しいことには変わりありませんが、高いレベルのライセンスを保持しておけば、よりチャンスは広がるでしょうし、何よりも皆様御自身のより信頼性の高い知識と、操縦技術の向上に役立つかと存じます。

 しかしながらインストラクターライセンスの取得については、かなりの英語力と、そしてより一層に確実な航空知識が必要とされます。それ故に、尚一層の苦労と努力が必要とされる事になりますが、それぐらいの努力と困難に立ち向かうくらいの勇気と気力が御座いませんと、この業界で、しっかりとやっていく事など出来ないと存じます。 皆様が航空界で活躍され、いつか御一緒に飛行が出来ますよう、希望しております。